どうも、たけを(@takewo88_books)です!
❝我々の世代の次の一手で、日本のこの長きにわたる停滞は終わり、戦況は好転する。❞
この一節から本書は始まります。
1990年代のバブル崩壊以降、今なお「失われた30年」と呼ばれる経済低迷を続ける日本。
そんな日本がもう一度、世界をリードする国家へと再興するためには何が必要なのか。
今立ち向かうべき問題や進むべき指針を、研究者の視点から描いた一冊が今回紹介する『日本再興戦略』です。
・著者:落合陽一とは
本書の著者、落合陽一氏の職業は本人曰く「メディアアーティスト」です。
しかし、実務レベルで見てみると
「アーティスト × 研究者 × 経営者 × 大学教員 × コメンテーター× 写真家、、、」
というように、とにかく何足ものわらじを履くマルチプレーヤーです。
そんな多角的な視点を持つ彼だからこそ見える、日本の今後の景色が本書では語られています。
落合陽一氏のプロフィールについては、本人がnote詳しく記していますので、
もっと知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
・日本が抱える課題

日本のこれからを考える前に、まずは現状の日本が抱える課題を認識する必要があります。
解決すべき課題として、大きくわけて3つが挙げられます。
1.「欧米」という理想郷
日本はこれまで、明治、昭和、平成と常に「欧米」を追いかけてきました。
制度においても、刑法はドイツに、民法はフランスに、憲法はアメリカに倣って作られています。
つまり日本では、歴史も違えば文化も違う、まったく別の国を参考にして基礎ができているのです。
しかしながら、私たちはこれを「欧米」という一括りに理解しようとします。
現代の日本が倣うべきは、パリであり、シリコンバレーであり、インドであり、シンガポールそれぞれなのであって、決して「欧米」ではありません。
まずはこの「欧米」という理想郷を捨てるところから始めなければいけません。
2.マスメディアによる均一化
次に問題となるのは、テレビという圧倒的なマスメディアによって、国民の価値感が平易に統一されてしまっている点です。
大企業に就職し、結婚してマイホームを持つというような、画一的な「普通」という価値観に洗脳されてしまっています。
日本が再度、自由な意思を取り戻すためには、江戸以前の「士農工商」を定義しなおす必要があると著者は言います。
「農」というと農民を思い浮かべますが、本来の農は「百姓=100の生業」を意味し、様々な分野でモノを生み出す職業を表します。
本来であれば、市場に新たなモノや価値を生み出す「農」「工」が評価されるべきなのに、既存の価値を市場に再分配する「商」が、メディアによって余りにも評価されすぎています。
しかし、この先日本が世界に対して新たな価値を提供していくためには、
それを生み出す「農」「工」にこそがスポットライトを当てるべきなのです。
3.中央集権への依存
最後に問題となるのが、中央集権への依存です。
日本では、ヒトもモノもカネも文化も大都市に集中しすぎています。
これでは、地方の問題を解決する際に、人材も財源もスピード感をもって割くことができません。
また、中央集権的な民主主義の下では、マスメディアが作り上げた「普通」に溢れてしまったマイノリティの声は、日の目を浴びることはありません。
今こそ、より小さい単位=地方自治に立ち返る必要があるのです。
・日本が再起するために

1.少子高齢化 ✖ 日本再興戦略
具体的な戦略を立てるにあたり、いまネガティブに語られる「少子高齢化」はチャンスである、と著者は言います。
テクノロジーの発展により、「商」の立ち位置の多くはAIに代用されることになります。ですが、人口減により生産力を保てなくなる今後の日本にとっては、機械化による生産力の確保はポジティブに捉えられます。
また、今後中国やインドを中心に世界全体が「高齢化社会」に突入しますが、いち早くこの流れを体感する日本では、自動運転や介護ロボットなど、世界に先駆けた環境整備ができるため、そのモデルケースとしての輸出大国になることができます。
2.ブロックチェーン ✖ 日本再興戦略
もう一つ重要なキーワードが「ブロックチェーン」です。
ブロックチェーンとは、簡単に言うと中央集権に頼ることのない、分散型ネットワークの仕組みです。
このブロックチェーンの発達によって、日本経済やビジネスの在り方は一気に方向転換します。
既に身近になっているTSUTAYAのTポイントや、JALマイレージのような「トークンエコノミー」がより普及することで、都道府県や市区町村レベルで、中央銀行を介さない独自の通貨を発行できるようになります。
これにより、地方自治はより活性化していきます。
ビジネスの面で見ると、現在私たちはiPhoneを使って、Googleで検索し、Amazonで商品を購入します。
つまり、シリコンバレーで生み出されたプラットフォームの上でしか、サービスを展開できないのが現状なのです。
しかし、ブロックチェーンにより非中央集権化が進めば、このプラットフォームを利用することなく、自由にサービスを展開することができるようになります。
GAFAが世界のトップでなくなる日も近いかもしれないのです。
・『日本再興戦略』まとめ

次の5年で、中国のGDPがアメリカを抜くと言われています。
さらにその次の10年で中国をも抜いてインドがトップになります。
世界の中心がアジアに移ったとき、東京が東洋のパリとして文化的注目を集め、東洋のニューヨークとして金融的発展を遂げていられるか。
手を動かせ。モノを作れ。批評家になるな。ポジションを取ってから批評しろ。
世界の最前線に立ち、価値を生み出し続ける落合陽一氏が描く『日本再興戦略』。
ぜひ、手に取ってみてください。
では、また!
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