『シン・ニホン - AI×データ時代における日本の再生と人材育成』 安宅和人 要約まとめ

現代社会

どうも、たけを(@takewo88_books)です!

❝この国はスクラップ&ビルドでのし上がってきた。今度も立ち上がれる。❞

この言葉は、2016年に公開された映画『シン・ゴジラ』にて、ゴジラにより壊滅的被害をもたらされた日本を再興させるべく、内閣総理大臣補佐官が放った一言です。

AI×データの発達よって目覚ましい発展を遂げた近年の世界において、一人負けを続ける日本がもう一度トップに躍り出るため、もう一度立ち上がるための戦略を描いたのが、今回紹介する『シン・ニホン』です。

約25万部を売り上げたロジカルシンキングの名著『イシューからはじめよ』の著者、安宅和人氏が、産官学渡り歩く中で見出した日本の現状、そして再起への道筋が非常に広範囲の分野に渡り、体系的に記されています。

今後の政治・経済・産業あらゆる面から日本を考える上で必読の一冊です。

💡こんな人にオススメ

・今後の日本の未来を担う若者
・教育に携わる方
・AI×データ時代に生きるすべてのビジネスパーソン

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・AI×データで世界はどう変わるか

1998年にGoogleが誕生してからはや20年。
私たちの世界はテクノロジーの力で凄まじい速度で変化を遂げてきました。

そして今後もその流れは留まるところを知らず、近い将来、すべての産業がAI化していくことになります。

既に生まれている変化でいうと、レジのない小売店「Amazon Go」や、米企業plentyによるビル内LED照射での農作物育成などがわかりやすいでしょう。

19世紀におきた産業革命によって、世界のGDPは約50~100倍に成長しましたが、現代もまさに、AIによる情報産業革命が起きつつあると言えます。

こうした状況では、世界は思わぬスピードで指数関数的な急成長を遂げることが予想されます。

そして、このAI×データ時代においては、あまりにも先行者利益が大きく、既に相当数のビッグデータを抱える「GAFA」や「BATH」などのメガプラットフォーマーが勝ち続ける仕組みが出来上がっていると言えます。

      G:Google      B:Baidu
      A:Amazon       A:Alibaba
      F:Facebook       T:Tencent
      A:Apple                   H:HUAWEI


つまり、「モノづくり」で勝ち進んできた日本の時代は既に崩壊し、「技術革新」が未来を切り開いていく時代へと、完全にゲームチェンジが起きてしまったのです。


・一人負けを続けた15年間

現在の日本の立ち位置を把握するために、G20各国のGDPの成長率を比較すると、アメリカ、中国の飛躍的な成長をはじめ、各国がアップトレンドの中、日本は1995年から全く成長できていません。

そしてこれは、世界時価総額ランキングからも見て取れます。

平成元年には世界一位がNTT、トップ50社のうち32社が日本企業でした。
しかし、2020年にはトヨタが40位に入るのみで、その他はすべて米中をはじめとするIT企業に取って代わられたのです。

この状況を著者は「第二の黒船来航」と例えています。

AI革命という黒船の到来に、指をくわえて動けないでいるのが、今の日本の現状なのです。

・日本の希望

では、日本はこのまま第二の黒船を前に倒れるほかないのでしょうか。

それは違います。
著者は、日本はもう一度立ち上がれると断言します。

かつて世界の形を大きく変えた産業革命には3つのフェーズがありました。

まず第1フェーズとして、電気や蒸気機関などの新エネルギーや技術の発見、開発があります。

そして第2フェーズでは、その技術を応用してクルマや家電が生まれました。

最後に第3フェーズとして、技術応用によって生まれた仕組みや産業が組み合わさって、インターネットや航空システムなどの、高度なシステムが社会全体に浸透していきます。

この視点で振り返って日本はどうだったか。

世界が第1フェーズに突入しているとき、日本ではまだ大部分が農作業をしており、上流階級は刀を腰にさして歩いているという、何とも笑ってしまいそうな状況でした。

しかし、明治維新にて諸外国を模倣することで急速に発展し、戦後のエコシステム構築では世界を置き去りにし、トップに躍り出ることができました。

つまり、日本はそもそも第1フェーズに参加したことがなく、第2・第3フェーズが最も得意な国なのです。

これはインドからの仏教伝来や、中国からの文字の伝来においても同じことが言えます。

そして、今はまさにAI産業革命の第1フェーズが終わりに差し掛かっており、第2フェーズに突入しようとしています。

このAI第2フェーズの波に乗ることができれば、もう一度世界のトップとして成長を遂げることができるのです。



そして、日本には第2フェーズが強いもう一つの理由があります。

それは、出口産業の強さです。

第2フェーズで重要になるのは、収集・処理した膨大なデータを様々な産業に応用するという点です。

その点において、日本はほぼすべての産業が世界でもトップレベルの質を誇っており、データの活用先である出口産業が非常に充実しています。

古くから、鉄腕アトムやドラえもんのように、「できたらいいな」を形にする「妄想力」が体に染み込んでいる日本にとって、AI×出口産業の第2フェーズはまさに再起の大チャンスなのです。

・「人材」の課題

しかし、このかつてない大チャンスをモノにするためには、2つの大きな課題があります。

1.3つの埋もれた才能の開放

AI×データ時代を乗り切るために最も重要な資源が「人材」です。

しかし現状の日本では、十分に力を発揮する場を持つことが叶わない3つの才能があります。

3つの埋もれた才能

1.貧困:3割の世帯が貯蓄無し / 労働最低賃金は移民大国アメリカに次ぐ低さ
2.女性:男性の家事負担時間は世界最低 / 女性議員数はG20最低
3.シニア:最頻死亡年齢は約90歳 / 80歳まで労働人口に加えると全体で4割増

この3つの埋もれた才能を開花させるために、最低賃金の見直し、教育機関の低額サポート、女性の雇用推進、65歳の定年廃止など、制度や仕組みを改革しなければいけません。

2.適切なリソース配分

最も重要な「人材」の育成に資源を割くことが出来ていないのが、日本最大の課題だと言えます。

これからの時代に求められるのは、科学技術分野の発展と、未来を担う若い世代の人材教育です。

この2点に、国家として予算を割く必要があることは自明ですが、現状の国家予算はそうはなっていません。

社会保障費には年金や医療費が含まれています。
そして、国債費においても過去の社会保障費への補填の返済と見ることができます。
さらに、地方交付金の多くも自治体による社会保障費に充てられています。

つまり、私たちは既に引退しているシニア層や過去の遺産に対して、約7割の予算を充てていることになります。

このうちの数%でも、若い世代への投資に回すことができたなら、私たちの未来は大きく変わります。

しかし、この適切なリソース配分が叶わなければ、再起のチャンスを逃し、今度こそ本当に立ち上がることができない負け国家になってしまうことでしょう。

今こそ、国家、教育、産業のすべてが一丸となって第二の黒船に立ち向かい、『シン・ニホン』の実現に進むべき時なのです。


・『シン・ニホン』 まとめ

私たちは、まさに革命が起きようとしている非常に面白い時代に生きています。

日本がこのまま負け続ける国として道を進むのか、それとももう一度立ち上がり、世界に勝つ国家へと成長することができるのか。

この未来を決めるのは、今を生きている私たちです。

国家レベルで変わる必要があるということは、私たち一人ひとりが政治に興味を持つ必要があるということですし、教育が変わる必要があるということは、私たち自らが学ぶ姿勢を変える必要があるということです。

『シン・ニホン』実現のために、ぜひ多くの方に読んで頂きたいと思います。

では、また!

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